SWAT-200 使用
http://ryutao.main.jp/equip_swat-200.htmlSWAT-200を実際使用した印象
SWAT-200の正面 SWAT-200を初めて手に持ってみると、頑丈で中身が詰まった印象を持ちました。 しかしその分重いため、カメラバックに入れるとずっしりと重いです。
SWAT-200のボディ下部には、35度の角度がつけられた台座が取り付けられています。 最初はこれが後付のようであまりよい印象ではありませんでしたが、 実際に撮影に使ってみると、水平に設置すれば極軸の傾きがおおよそ合うので便利に感じています。
ターンテーブルの回転はきわめてなめらかです。 ターンテーブルに取り付けられた2本のロックネジを締め付けると確実に回転が固定され、 使い心地は良好です。
SWAT-200本体の動作モード切替ノブは便利ですが、ノブが小さすぎて回しづらいのが欠点です。 グローブを付けた状態でも回せるような形状にして欲しかったところです。 また、実用上は問題ありませんが、個人的には電源スイッチを本体に設けて欲しかったところです。
追尾精度や強度を売りにしたモデルだけあって追尾撮影の成功率は高く、 重いカメラを使っているときでも安心して撮影を任せられます。
SWAT-200の精度
SWAT-200を使用した実写画像を用いて、追尾精度を確認してみましょう。 まずはフルサイズのデジタル一眼レフカメラと焦点距離35ミリのレンズを用いて、 露出時間360秒で、さそり座付近の星空を撮影してみました。 下がその全体画像で、その下が中央部のピクセル等倍画像になります。
ST-iの1秒露出画像
ST-iの1秒露出画像
この程度の焦点距離なら、ピクセル等倍画像を見ても星は真円を保っています。 なお、撮影時は、オプションで用意されている外付けの極軸望遠鏡を使って、 極軸を合わせてから撮影しています。
続いてレンズを焦点距離100mmのものに交換して、 露出時間120秒で星空を撮影してみました。 同じく下が全体画像で、その下が中央部のピクセル等倍画像になります。
ST-iの1秒露出画像
ST-iの1秒露出画像
露出時間が比較的短かったためもあるかもしれませんが、 焦点距離100ミリの中望遠レンズでも星はほぼ真円を保っています。 これらの結果から、広角レンズ~中望遠レンズ程度のレンズなら、星を真円に保つ追尾精度はあるといえそうです。
SWAT-200のピリオディックモーション
ピリオディックモーションは、赤道儀が回転する際に生じる進み遅れのエラーの量です。 この量が少ないほど高精度の赤道儀と考えられ、赤道儀の追尾精度を見る上での尺度になっています。 SWAT-200はポータブル赤道儀ですが、中型赤道儀並みの大きさのウォームホイルを用いて高精度をうたっています。 今回、天体望遠鏡を使って、SWAT-200赤道儀のピリオディックモーションを測定してみました。
PEモーションの測定は、極軸をずらした後に実際の恒星を撮影して、そのエラー量を調べる実測法で行いました。 撮影にはBORG76EDをSWAT-200に取り付けて、恒星像を拡大して露出時間600秒で撮影しました。
SWAT-200のピリオディックモーション
左端に写っている星は離隔約17秒の二重星です。 これと比べると、このSWAT-200赤道儀のピリオディックモーションは、±10~14秒前後と読み取れます。 少し極軸をずらしすぎたため、軌跡が伸びてしまいましたが、回転も滑らかのようです。
SWAT-200の極軸望遠鏡
SWAT-200の極軸望遠鏡 ユニテックSWAT-200には、オプションで外付け極軸望遠鏡が用意されています。 この極軸望遠鏡には、スカイメモタイプとビクセンポラリエタイプの2種類があります。 私が使用しているのはスカイメモタイプの極軸望遠鏡で、時角計算が必要ないので、素早く極軸を合わせることができます。
極軸望遠鏡は、SWAT-200の背面に設けられたネジ穴に極軸望遠鏡のステーをねじ込み固定して使用します。 外付け式なので、SWAT-200の回転部分と平行が出ているか気になるところですが、 今まで使用した限りはズレが気になったことはなく、その点は大丈夫のようです。
極軸望遠鏡自体は覗きやすいですが、周辺星像はそれほどよくありません。 中央部は点像になるものの、視野の半分くらいから星像が流れはじめ、視野の隅の星は見づらいです。
極軸望遠鏡の固定ネジが緩んでいると、極望のステーが一気に回転してSWAT-200本体に当たってしまうことがあります。 そのため、当たった部分の塗装がはげて、本体の塗装に傷が付いてしまいました。 星空撮影は暗いところで行うので、注意していても何度か傷を付けてしまいます。 今は当たる部分に緩衝材を張っていますが、この点はもう少し考えて設計して欲しかったところです。
なお、スカイメモタイプの極軸望遠鏡には暗視野照明装置が付属していて、 電源にはボタンセルAG9という電池が使われています。 一般的でない電池なのでメーカーに問い合わせてみると、 互換電池に「マンガン系 LR936/LR45/AG9」と「酸化銀電系 SR936/E394/V394/D394」というものがあるようです。 店頭ではあまり見かけない電池なので、ネットショップなどで購入しておいた方が良いかもしれません。
SWAT-200のドイツ式赤緯ユニット
ドイツ式赤緯ユニット 製造元のユニテック株式会社からは、SWAT-200用として様々なオプション品が販売されています。 その中で私が購入したのは、ドイツ式赤緯ユニットです。 ターンテーブルに自由雲台を付けてデジカメを撮影しても十分撮影できましたが、 ドイツ式赤道儀を使い慣れているので、同じような感覚で撮影したかったためです。
ドイツ式赤緯ユニットの造りはよく、仕上げも良好でしっかりと作られています。 バランスウェイト延長シャフトも標準で付属するのが嬉しいところです。
このドイツ式赤緯ユニットは、そのままSWAT-200のターンテーブルにねじ込んで取り付けることもできますが、 私はタカハシ純正のアリミゾ金具Sを本体に取り付け、それにユニットを固定して使用しています。 ドイツ式ユニットのアリガタの取り付け長が短いので、K-Astec製アリミゾなどには取り付けられませんでした。 メーカーは純正のアリミゾキャッチャーと一緒に使用することを推奨しています。
ドイツ式赤緯ユニットを使うと、2軸式の赤道儀と同じような感覚で構図を合わせることができます。 今まで赤道儀を使用した経験がある方には、こちらの方がスムーズに使用できるのではないでしょうか。 また、赤緯軸のバランスを合わせることができるので、より安定して撮影できると思います。
なお、ドイツ式赤緯ユニットを使用した状態で極軸望遠鏡を取り付けると、構図によっては極望とユニットが干渉してしまいます。 撮影毎に極軸望遠鏡を外せば問題は解消しますが、前記の問題もあるため、 できれば極軸望遠鏡のデザインを変更して欲しいところです。
信頼性の高いポータブル赤道儀
ユニテックSWAT-200は、信頼性の高いポータブル赤道儀だと思います。 コンパクトに作られたポータブル赤道儀の中には強度が低く、重いカメラを載せるとガタが生じる製品がありますが、 このSWAT-200にはそうしたところが見当たりません。 基本的な強度が高い赤道儀だと思います。
一方販売価格が高いのがネックといえます。 SWAT-200は、2軸式のモーター付属の赤道儀が購入できるほどの価格帯ですので、 車で移動できる環境であれば、そうした赤道儀の方が撮影に使い易いかもしれません。
高価ですが、製品自体の造りや精度はよいので、信頼性のおけるポータブル赤道儀をお探しの方にはお勧めできる製品だと思います。 ユニテック社はこのSWAT-200を皮切りに、新しい機種の開発も考えているようです。 今後の動向に注目したいポータブル赤道儀メーカーです。
ユニテックSWAT-200赤道儀のスペック
ユニテックSWAT-200赤道儀の仕様を以下に示します。
=> 有人看得懂嗎 ?